編 集 後 記
先日、東武電車に乗り合わせた女子高生の話です。
 制服のまま、ガングロのお化粧、右手には携帯、左手にはコーラの紙コップ。一緒に座っている2人もガングロで、ジャージ姿。思い思いのリラックスした姿勢で、ベンチシートをゆうゆう占領しています。電車が空いているのを良いことにポテトチップスを食べたり、ジュースを飲んだりと足元も散らかし放題。そこはもう彼女たちの世界。顔をしかめて眺めている大人の視線などは、ぜんぜん気にならない様子です。
 1人は、お菓子を食べながら鏡を取り出しお化粧の続き。1人は楽しそうに大きな声で話をしながら、プリクラの整理をしています。携帯を手にした彼女がいきなり大きな声でケイタイをかけはじめました。他の客車まで届くような大きな声です。そして、彼女の口から連発される言葉はというと、「マジけ?うそ!」ばかり。
「マジけ」っていったい何?と一瞬考えましたが、若者言葉の「マジ」+方言の「け」だと分かって、妙に納得してしまいました。若者特有の「ほんと?うっそぉ!」の栃木県版とでもいうところでしょうか。
 それにしても、彼女たちの会話を聴いていると、その語彙の少なさにはびっくりします。簡潔、明瞭といえば聞こえは良いですが、ほとんどが短い言葉の繰り返しです。これも、活字でなく、マスコミの音声や画像で育った子供たちの特徴なのかも知れませんが、ちょっと寂しい気がします。
 言葉はなまものといいますが、方言も時代と共に変わったり、すたれっていったりしています。今回の調査で、栃木の方言として死語になりつつある「とろっぴ」などの言葉が、わずかですがまだ使われていたり、知ってる人がいたことは大変貴重な結果として受け止められました。また、地域の人と親しんだり、その場を和らげるために方言をあえて使うなど、方言の活用や価値の多様性にも気付かされました。
 しかし、冒頭のエピソードのように、はやり言葉に付けられたり、単なるノリで使われたりしていくと、方言の本来持っている温かさが失われ、単に品のない軽い言葉になってしまう恐れもあります。
 ふるさとを感じるような温かい方言を、私たちは、もっともっと大切にしていく必要があるのではないでしょうか。
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